「解体してから売ろう」の前に。翌年度の固定資産税、アスベスト、大阪市の補助(申請は12月28日まで)
書いた人:川原貴諒(宅地建物取引士・大阪市西成区)家を壊して更地にしてから売ると、翌年度から固定資産税が上がる可能性があります。住宅用地の特例(200㎡までの部分は課税標準が6分の1)が外れるためです。壊す前に、アスベストの事前調査と、大阪市の解体の補助(申請は2026年12月28日まで。予算に達すると早く締め切ることがあります)も確認してください。補助の対象になるかは、大阪市の窓口が判断します。
「家を壊して、更地にしてから売ろう」。
相続した古い家で、よく出る話です。
壊した家は、元に戻せません。
最初の1歩は、固定資産税の課税明細書を手元に出すことです。
見方が分からなければ、LINEで「解体」の一言と、家のある区だけ送ってください。売らなくても大丈夫です。
壊す前に確かめるのは、税、アスベスト、補助、3,000万円控除の4つです。
1. 壊すと、固定資産税が上がる
家が建っている土地には、「住宅用地の特例」があります。家のある土地の税を軽くする仕組みです。
200㎡までの部分は、税を計算するもとの額(課税標準)が6分の1になります(都市計画税は3分の1)。
家を取り壊すと、この特例が外れます。
上がるのは、壊した後の1月1日に家が無い状態で決まる年度からです。2026年中に壊せば、2027年度の固定資産税から上がります。
いくら上がるかは、課税明細書を持って、市税事務所で聞くのが確かです。
西成区・阿倍野区・住之江区・住吉区は、あべの市税事務所の担当です。
壊したら、住宅用地の申告も要ります。期限は毎年1月31日。2026年中に壊したなら、2027年1月31日までです。
壊さずに置いておけば安心、とも限りません。
傷んだ空き家が「管理不全空家」「特定空家」として市から勧告(直すよう求める正式な通知)を受けると、家が建っていても特例から外れます。
2. 解体の見積には、アスベストの調査が入る
家を壊す工事の前には、石綿(アスベスト)が使われていないかを調べる決まりがあります。大気汚染防止法です。
調べるのは、元請(頼んだ人から直接工事を請け負う業者)です。図面などの書面と、目で見て調べます。
結果は書面にして、工事を頼んだ人に説明します。工事の規模によっては、役所への報告もあります。
2023年10月1日からは、資格を持った人が調べることになっています。
工事を頼んだ人は、調査の費用をきちんと負担し、協力しなければならない、と法律にあります。売る前に壊すなら、頼むのは売主です。
聞いた話です。150万円と聞いていた解体が、事前調査でアスベストが見つかり、除去費が乗って300万円になった、と。誰の話かは分かりません。
出るかどうかは、調査が終わるまで分かりません。
見積は、調査の費用が入っているか、見つかったら別になるのかを聞いて並べてください。
3. 大阪市の解体の補助は、申請が12月28日まで
大阪市には、古い家の解体に使える補助が2つあります。
自分の家がどちらに当たるかは、まずこの2行で見ます。
狭い道に面した古い木造で、市の決めた対策地区にある → 狭い道沿いの解体の補助
平成12年5月31日以前の住宅で、耐震診断で耐震性が足りないと判断された → 耐震除却(耐震性が足りない家の解体)の補助
令和8年度の市の案内では、西成区は一部の町が対策地区に入っています。令和9年度から対象の区域が変わる地区もあるので、使えるかどうかは市の窓口(住まい情報センター 06-6882-7053)で番地まで確かめてください。
自分の家がどの地区かは、「マップナビおおさか」か窓口(住まい情報センター4階、06-6882-7053)で、住所から確かめられます。
順番に気をつけてください。
狭い道の補助は、市の交付決定(補助を出すという市の決定)の通知を受けてから業者と契約するのが原則です。申請は契約予定日の40日前まで。先に契約した場合の扱いは限られるので、契約の前に窓口へ。
耐震除却も、業者を決める前に窓口へ電話してください。
市のページには「売却」の言葉がありません。売る予定の家で使えるかも、そこで確かめてください。
締切は、どちらも2026年12月28日(月)です。耐震除却は、予算に達すると締切より前に受付が止まることがあります。
細かい数字は、次のとおりです。
【狭い道沿いの解体】
対策地区:幅4m未満の道に面した、昭和25年以前の木造住宅。費用の2分の1、戸建の上限は1戸105万円
重点対策地区:幅6m未満の道に面した、昭和56年5月31日以前の木造住宅。費用の5分の4、戸建の上限は1戸170万円(区域の一部は3分の2、1棟100万円)
出るのは「床面積×単価×補助率」「見積(消費税抜き)×補助率」「上限額」のうち、いちばん低い額。手引きの計算例では、床面積60㎡・見積200万円で81万円
壊した後の土地の使い道は問わない、と手引きにあります。建物の持ち主が何人もいるときは、全員の承諾が要ります
大阪市「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度 補助金申請の手引き〜令和8年度版〜」
【耐震除却】
費用の3分の1。上限は1戸70万円、1棟140万円
昭和56年5月31日以前の木造は、自分で付ける調査票で判断できる場合があります
市税を滞納していると使えません
4. 3,000万円控除を使うなら、誰がいつ壊すか
相続した昭和56年5月31日以前の家なら、空き家の3,000万円控除が使える可能性があります。壊し方で条件が分かれます。
売主が壊して、更地で売る
建物つきで売り、売った年の翌年2月15日までに取り壊す(耐震改修でもよい)
1つ目には、壊した後、売るまでに建物などの敷地に使っていない、といった条件があります。
2つ目は売った後の工事なので、契約の前に買主と話しておく点になります。
期限の数え方と区役所の確認書は、前の記事に書きました。
使えるかを決めるのは、税務署と税理士です。
2023年に相続した実家の3,000万円控除は、2026年末まで。期限の数え方と区役所の確認書
5. 古家付きで売る道と、並べてから決める
解体費は、法律で売主の負担と決まっているわけではありません。契約の条件です。
「古家付き」(古い家が建ったまま)、「現況渡し」(今の状態のまま引き渡す)で売り出す手もあります。
解体費を、そのまま売値に上乗せできるとは限りません。
更地だから高く買う、という買主ばかりでもありません。
壊すのは、買主が決まってからでいい。
壊す前に、次の3つの数字を集めて並べるところまで、ご相談に乗ります。数字を出すのは、解体業者と市税事務所です。
解体の見積
アスベストの調査で乗る費用
壊した後に上がる税額
それから決めても、間に合います。
6. 費用のこと
相談と査定に、費用はかかりません
仲介手数料をいただくのは、売買が成立したときだけです
壊す順番で、損得が変わる。
売らなくても大丈夫です。
「親の家を壊そうか迷っている」の段階で連絡をもらえれば、壊す前に何を確かめるかを一緒に並べます。返事をするのは、宅地建物取引士の川原本人です。
ご相談は、LINEがいちばん早いです。「解体」の一言と、家のある区だけで構いません。
LINEで相談する:https://lin.ee/8wVUuCW
対応エリアは、大阪市全域・東大阪市・八尾市・藤井寺市・松原市・羽曳野市です。
売却のご相談:https://tk-granks.co.jp/sell
大阪市西成区の不動産屋 TKグランクス株式会社 川原貴諒(宅地建物取引士)
宅地建物取引業 大阪府知事(01)第067136号
補助が使えるかは、契約の前に窓口で確認を。
根拠:地方税法349条の3の2(住宅用地の特例・勧告での除外)、空家等対策の推進に関する特別措置法13条2項・22条2項(勧告)、大気汚染防止法18条の15(事前調査・発注者の協力)、租税特別措置法35条3項(取壊しの条件)、大阪市「住宅用地に対する課税標準の特例」(2025年1月22日更新)、大阪市「特定空家等への対処に関する指針」(令和8年4月1日施行)、大阪市「民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度」(2026年9月1日更新)、大阪市「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度 補助金申請の手引き〜令和8年度版〜」、環境省「石綿(アスベスト)の事前調査」。
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