不動産会社の行政処分が増えている。宅建業者の監督処分163件の中身
書いた人:川原貴諒(宅地建物取引士・大阪市西成区)不動産会社の処分が、増えています。
国土交通省が2026年10月2日に発表した令和7年度の調査では、全国の宅建業者(不動産会社)への監督処分は163件。前の年より16件増えました。
増えたのは業務停止と指示です。その主な理由には「重要事項の説明」と「媒介契約」が並んでいます。
大阪市西成区の不動産会社TKグランクスが、これから家を買う人・借りる人・売る人に向けて、この数字の読み方をまとめます。
処分の数字は、すべて全国のものです。
1. 令和7年度の調査で分かったこと
国土交通省は、宅地建物取引業法の施行状況を調べて発表しています。
今回は令和7年度、2025年4月から2026年3月までの1年です。
処分と行政指導が、どちらも増えた年でした。
2. 監督処分は163件。中身は3つに分かれる
監督処分は、免許を出した国土交通大臣や都道府県知事が、宅建業者に出す処分です。
重いほうから、免許取消、業務停止、指示の3つがあります。
・免許取消 85件(前の年より14件減)
・業務停止 36件(20件増)
・指示 42件(10件増)
合わせて163件。前の年の147件から10.9%増えました。
指示は、3つのうちいちばん軽い処分です。
減ったのは、いちばん重い免許取消。
増えたのは業務停止と指示でした。業務停止は16件から36件。倍以上です。
3. 免許取消85件は、悪い取引の数だけではない
免許取消の理由で最も多いのは、「事務所不確知」の56件です。
免許を出した国や県が、業者の事務所の所在地を確認できないものを指します。
事務所の所在地が確認できない業者は、客から連絡が取れなくなる。
それ自体が問題です。
ほかに資料が主なものとして挙げるのは、免許の基準等が23件、営業保証金の未供託が4件。
85件の中身は、悪い取引の数だけではありません。
見出しの数字だけで、業界全体を判断しないことです。
4. 行政指導は768件。この10年でいちばん多い
処分とは別に、文書による指導・助言・勧告があります。行政指導と呼ばれるものです。
令和7年度は768件。前の年より176件、29.7%増えました。
内訳は、勧告が556件、指導・助言が212件。
これまでこの10年で最も多かったのは、平成28年度の697件でした。それを上回りました。
5. 処分の理由に並ぶ言葉
資料は、処分の理由の主なものを挙げています。
業務停止の主な理由
・重要事項の説明等 9件
・媒介契約 7件
・専任の宅建士の設置 4件
指示の主な理由
・媒介契約 9件
・重要事項の説明等 9件
・専任の宅建士の設置 6件
・取引の公正を害する行為 6件
重要事項の説明は、契約の前に、宅地建物取引士が買う人・借りる人に、物件と取引の条件を説明することです。
媒介契約は、家を売る・買うときに、仲介を不動産会社に頼む契約。
専任の宅建士は、業者が事務所ごとに置く、その事務所に常勤の宅地建物取引士です。
重要事項の説明と媒介契約には、お客さんが書面で確かめられる部分があります。
どれも会社の側の義務で、お客さんが防ぐものではありません。ただ、確かめられる所は確かめられます。
6. 増えた理由は、資料に書かれていない
資料にあるのは、「監督処分件数、勧告等の行政指導件数は共に増加。」の一文です。
なぜ増えたかは書かれていません。
業者の数が増えたことと、処分が増えたことのつながりも、資料は述べていません。
5章の主な理由の一覧は、全件ではありません。
資料から言えるのは、ここまで。この先は僕の見方です。
業務停止と指示の理由だけを見ると、派手な悪事より、基本の手順の抜けが多い気がします。
7. 業者の数と、大阪の数字
2026年3月末の宅建業者は、133,727。
前の年より1,436増えました(1.1%)。増えるのは12年続けてです。
増えたのは法人で、121,747。
個人の業者は12,389から11,980に減りました。
20年前(平成18年度末)は130,647。
平成25年度の122,127まで減り、そこから増え続けています。
宅地建物取引士の登録者は1,243,738人。この年に新しく登録した人は34,714人です。
大阪府の宅建業者は15,234。東京の27,939に次いで、全国で2番目に多い数です。
内訳は、大臣免許515、知事免許14,719。法人13,886、個人1,348。
一方で、大阪の処分件数と指導件数は、この資料に載っていません。
大阪で処分が増えたかどうかは、ここからは言えません。
8. 契約の前に確かめる3つ
1と2は買う人・借りる人、3は売る人の確認です。
1. 買う人・借りる人は、宅建士証を見せてもらう
重要事項の説明をするとき、宅地建物取引士は宅建士証を見せることになっています。
説明しているのが宅建士かどうかを、カードで確かめられます。
2. 買う人・借りる人は、書面を見ながら説明を聞く
耳だけで聞くと、何を聞いたかが残りません。
同じ書面を目で追い、分からない行はその場で聞き返します。
3. 売る人は、媒介契約の種類を聞く
媒介契約には、一般・専任・専属専任の種類があります。
大きな違いは、ほかの不動産会社にも頼めるかどうか。一般は頼めて、専任と専属専任は1社だけに頼みます。
どれで結ぶのかを聞き、契約書の上でも確かめます。
聞くのは、失礼ではありません。
宅建士証を見せてほしい。この行が分からない。どの種類の契約か。
どれも、お客さんが聞いていいことです。
紙で残して、目で確かめる。
ご相談はLINEで。返事をするのは宅地建物取引士の川原本人です。https://lin.ee/8wVUuCW
大阪市西成区の不動産屋 TKグランクス株式会社 川原貴諒(宅地建物取引士)
宅地建物取引業 大阪府知事(01)第067136号
出典:国土交通省 報道発表(2026年10月2日)https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00128.html
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