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「売っても、そのまま住めます」と言われたら。リースバックの前...

    「売っても、そのまま住めます」と言われたら。リースバックの前に、家族で確かめること

    書いた人:川原貴諒(宅地建物取引士・大阪市西成区)

      親が『売っても、そのまま住めます』と勧められている方へ。その場でサインしなくて大丈夫です。

      サインの前に、家族で契約書を読んでください。

      リースバックは、家を会社に売り、その会社から借りて住み続ける契約です。

      売ったあと、家の持ち主は買った会社です。住む側は、家賃を払う借り手になります。

      国土交通省は、リースバックのガイドラインを2026年10月1日から施行しました。法律の改正ではありません。宅地建物取引業法をどう当てはめるかの考え方です。

      売買の条件に加えて、賃貸借の条件も、業者が告げるべき大事な事項だと整理しています。

      業者に家を売る場合、宅地建物取引業法のクーリング・オフは使えません。

      大阪市西成区の不動産会社TKグランクスが、契約書で家族が見るところ、業者に聞くこと、相談先をまとめます。

      目次

      1. リースバックとは。使い道はある

      2. 国民生活センターに届いた相談

      3. 10月1日施行のガイドラインに書いてあること

      4. クーリング・オフは使えない。手付解除と違約金

      5. 定期借家か、普通借家か

      6. 家族で確かめる7つ

      7. 急かされたら

      8. 大阪の相談先

      1. リースバックとは。使い道はある

      家を売ってまとまったお金を受け取り、そのまま借りて住む。これがリースバックです。

      国土交通省の「住宅のリースバックに関するガイドブック」(令和4年6月24日公表)には、施設に入る費用や、建替えの資金に使った利用例も載っています。

      使うなら、売ったあとの暮らしの条件を先に見ます。

      何年住めるか。家賃はいくらか。買い戻せるか。これは全部、契約書で決まります。

      2. 国民生活センターに届いた相談

      国民生活センターは、見守り新鮮情報 第552号「リースバック契約は慎重に」(2026年10月1日)で、こんな事例を出しています。

      • 80歳代の人が、1,200万円で自宅を売り、家賃を払って住む契約をした

      • 解約を申し出たら、手付金50万円の返金と、違約金50万円を請求された

      • 勧誘は朝から夜遅くまで続いた

      • 契約書に違約金の記載はあったが、勧誘のときに説明は無かった

      国民生活センターの2025年5月21日の注意喚起では、「契約当事者の約7割が 70 歳以上」です。

      相談の件数は、令和5年度からは毎年200件を超えています(令和4年度は116件。ガイドラインの注記)。

      困ったときの電話先(消費者ホットライン188など)は、8章にまとめています。

      3. 10月1日施行のガイドラインに書いてあること

      対象は、業者が買主になる売買と、業者が仲介・代理をする売買です。

      ガイドラインは、リースバックでは「売買の内容に加え、賃貸借の内容も相手方等の判断に重要な影響を及ぼす事項に該当する。」としています。

      挙がっているのは、たとえば次のことです。

      • 契約の解除と違約金

      • 買戻し(売った家を、あとで買い直すこと)の特約があるか、その中身

      • 家賃の額と払い方

      • 契約の期間と更新。定期借家ならその旨

      • 業者が家を第三者(その業者から家を買う別の会社など)に売る可能性と、そのとき賃貸借がどうなるか

      • 修繕費用をどちらが持つか

      業者がこれをわざと告げなければ、宅地建物取引業法47条1号に触れます。うっかり告げなかった場合も、業者の誠実に仕事をする義務(31条1項)に触れるおそれがある、とされています。

      違反した業者が処分を受けるかどうかは、行政が決めることです。

      売却代金が家賃の何か月分にあたるか。ガイドラインは、こうした説明を業者がするのが「望ましい」としています。義務ではありません。

      説明が無ければ、こちらから聞いてください。

      勧誘のしかたにも決まりがあります(47条の2、同法施行規則16条の11第1号)。

      • 断ったのに勧誘を続ける

      • 迷惑な時間に電話や訪問をする

      • 深夜や長時間の勧誘で困らせる

      • 正当な理由なく、考える時間を与えない

      どれも禁止です。

      4. クーリング・オフは使えない。手付解除と違約金

      宅地建物取引業法のクーリング・オフ(37条の2)は、業者が売主のときの決まりです。

      家を業者に売る側は、使えません。国土交通省のガイドブックも、国民生活センターも、そう書いています。

      売る側がやめたいときは、手付解除です(民法557条1項)。

      受け取った手付の倍額を、業者に差し出して解除します。業者が契約の約束を果たす動きを始めたあと(履行の着手)は、手付解除ができません。どこからがそれに当たるかは、あとで争いになることもあります。手付解除の期限が契約書に書いてあるかを見てください。

      552号の助言はこうです。

      「契約解除には、手付金の倍額を支払うこととなり、手付解除が可能な期間を過ぎると高額な違約金が必要になる場合がありますので、慎重に判断しましょう。」

      違約金がいくらかは、契約書しだいです。サインの前に、解除と違約金の欄を見てください。

      他の法律で契約を取り消せる場合もあります。取り消せるかどうかは、消費生活センターに相談するか、弁護士の判断を受けてください。

      5. 定期借家か、普通借家か

      住み続けられる期間は、借りる契約の種類で変わります。

      定期借家

      • 更新がなく、期間が来たら終わります(借地借家法38条1項)

      • 貸主が再契約を断れば、退去することになります(ガイドブック)

      • 「再契約するつもりです」と言われただけのこともあります。家が第三者に売られ、新しい貸主に再契約を断られることもあります

      • 更新が無いことを、契約の前に書面で説明する決まりがあります。説明が無ければ、更新しない定めは効力を持ちません(38条3項・5項)

      普通借家

      • 貸主から更新を断ったり解約したりするには、「正当の事由」が要ります(28条)

      • 貸主から一方的に終わらせるのは、難しくなります。正当の事由があるかを決めるのは裁判所です

      • 家賃を払わなければ、解除されることはあります

      6. 家族で確かめる7つ

      契約書をまだもらっていなければ、『家族に見せたいので、契約書の案を先にください』と頼んでください。

      契約書を家族で広げて、業者に次のことを聞いてください。答えを聞いたら、契約書のどこに書いてあるかも指してもらいます。

      1. 定期借家か、普通借家か。期間は何年か

      賃貸借の契約書の、種類と期間の欄。定期借家なら、再契約の条件がどう書いてあるか。

      2. 家賃の合計と、売却代金の関係

      売却代金は、家賃の何か月分か。住みたい年数の家賃を足して、受け取る額と比べます。年金などで払い続けられるかも計算します。

      3. 買戻しの条件が、契約書にあるか

      ガイドブックは、買戻しは「当然の権利」ではないとしています。いつまでに、いくらで買い戻せるか。口約束で済ませず、書面で見ます。

      4. 手付と違約金。手付解除はいつまでか

      手付の額、違約金の額。手付解除はいつまでできると、契約書に書いてあるか。

      5. 修繕は誰が持つか。原状回復は

      給湯器や雨漏りの修理を、どちらが負担するか。原状回復(出るときに元の状態に戻すこと)の範囲はどこまでか。借りた人が亡くなったとき、家族が相続で原状回復の責任を負う場合もあります(ガイドブック)。

      6. 家が第三者に売られたら、どうなるか

      貸主が変わったとき、今の契約がどうなるかの説明を求めます。

      7. 売却価格を、ほかの会社にも聞いたか

      ガイドブックは、複数の事業者に相談し、売却価格を聞くよう勧めています。

      7. 急かされたら

      「今日決めたら、この値段で」。そう言われても、その場でサインしなくていい。

      ガイドブックは、急かす営業トークをうのみにせず、「家族に相談して決める」と伝えるよう勧めています。

      「家族と相談して決めます」。こう言って構いません。断ったあとも続く勧誘は、3章のとおり禁止です。

      8. 大阪の相談先

      • 消費者ホットライン 188

      近くの消費生活センターなどを案内してくれます。相談は無料、通話料はかかります。

      • 大阪府 宅建業指導グループ(都市整備部 住宅建築局 建築指導室 建築振興課) 06-6210-9734

      受付は9:30〜11:30、13:00〜16:30。土日祝と12月29日〜1月3日は休み。咲洲庁舎1階。

      業者の対応について、まず業者名を伝えて相談します。

      • 大阪弁護士会 総合法律相談センター 06-6364-1248

      契約を取り消せるか、違約金を払うかといった民事の判断は、こちらです。

      サインの前に、家族で読む。

      家を買う・売る・住まいのご相談はLINEで。返事をするのは宅地建物取引士の川原本人です。

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      大阪市西成区の不動産屋 TKグランクス株式会社 川原貴諒(宅地建物取引士)

      宅地建物取引業 大阪府知事(01)第067136号

      出典:国土交通省「住宅のリースバック取引における宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年10月1日施行版)https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/002025410.pdf /国民生活センター 見守り新鮮情報 第552号(2026年10月1日)https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen552.html

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