売るときに聞かれる家の記録、今日から残せます
書いた人:川原貴諒(宅地建物取引士・大阪市西成区)家の記録は、売るときに役に立つのか。
説明される場面があります。
売るとき、重要事項説明書で「この書類が残っているか」を説明される書類が、法律で決まっているからです。
戸建てで、法律で記録を残す決まりがあるのは、認定を受けた長期優良住宅です。
それ以外の戸建てには、決まりがありません。
決まりがないから、今日から自分で残せます。
この記事で分かること。
国の会議で、何が話し合われるのか
家の記録(住宅履歴情報)とは何か
売るとき、どの書類が説明に出てくるか
告知書や修繕の領収書の使いどころ
今日からできる残し方
大阪市西成区の不動産会社TKグランクスの川原がまとめます。
目次
1. 国の会議で、話し合いが始まる
2. 家の記録とは
3. 残す決まりがあるのは、長期優良住宅
4. 売るとき、重要事項説明書に出てくる書類
5. 告知書・付帯設備表と、見積書・領収書・保証書
6. 書類がそろうと、何が変わるか
7. 今日からできること
1. 国の会議で、話し合いが始まる
国土交通省で、家の記録について話し合う会議が開かれます。
名前は「住宅履歴情報の蓄積・活用に関する検討ワーキンググループ」。
住宅の設計・施工・維持保全などの情報の、新たな活用のあり方と、それに合わせた保存・蓄積のあり方を検討します。
10月28日に第1回が開かれます。
議事は「現状と課題及び検討の方向性(案)の提示」と、意見交換です。
会議は非公開で、資料と議事概要は後日、国土交通省のサイトに載る予定です。
このワーキンググループは、「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」の下に置かれました。
コラム33で書いた検討会です。
話し合いはこれからです。決まったことは、まだ何もありません。
ただ、家の記録が売り買いで見られる場面は、今もあります。
結果を待たなくても、家の記録は今日から残せます。
2. 家の記録とは
家の記録は、住宅履歴情報と呼ばれます。
設計図書(図面など)や修繕の履歴など、家を建てた時から、手入れをしてきた間の書類や図面のことです。
業界の団体が、1戸に1つの番号を配って記録を預かる仕組みがあります(いえかるて、という呼び名で紹介されています)。
預ける仕組みを使うかどうかは、持ち主が決めることです。
使わなくても、手元の紙をなくさないことから始められます。
3. 残す決まりがあるのは、長期優良住宅
長期優良住宅の認定を受けた人には、記録を残す決まりがあります。
長期優良住宅の普及の促進に関する法律11条1項が、認定を受けた人に、その住宅の建築と維持保全の状況の記録を作って保存するよう求めています。
長期優良住宅以外の戸建てには、持ち主に記録を残すよう求める法律上の決まりはありません。
残すかどうかは、持ち主しだいです。
だから、残っている家と、残っていない家の差が出ます。
自分の家が長期優良住宅かどうか分からなければ、建てた会社や不動産会社に聞いてみてください。
4. 売るとき、重要事項説明書に出てくる書類
不動産会社が仲介する売買では、契約の前に、宅地建物取引士が重要事項説明書で説明します(重要事項説明=契約の前に受ける説明)。
その中に、建物の書類が「残っているかどうか」の欄があります(宅地建物取引業法35条1項6号の2ロ)。
対象の書類は、こう決まっています(宅地建物取引業法施行規則16条の2の3)。
確認申請書と、確認済証
確認済証は、建てる前に、計画が法律に合っているかを役所や検査機関が確かめた証明です。検査済証
できあがった建物が計画どおりか、検査を受けた証明です。建物状況調査の報告書
建物の状態を専門家が見る調査の報告書です。建設住宅性能評価書(既存住宅のもの)
建築基準法の定期報告の書類
昭和56年5月31日以前に着工した家の、耐震の書類
説明されるのは、書類が「あるかどうか」です。
無ければ「無い」と説明されます。
買う人は、その欄を見て、家のことをどこまで確かめられるかを知ります。
建物状況調査は、別の欄もあります(35条1項6号の2イ)。
実施したかどうかと、した場合は結果の概要が説明されます。
対象は、実施から1年以内のものです。鉄筋コンクリート造などの共同住宅は、2年以内です(施行規則16条の2の2)。
戸建てなら、まず確認済証・検査済証、古い家なら耐震の書類から探してみてください。
5. 告知書・付帯設備表と、見積書・領収書・保証書
売るときは、売主が告知書(物件状況報告書)や付帯設備表を書くのが一般的です。
告知書は、雨漏りや修理の履歴など、家の状態を売主が書く紙です。
付帯設備表は、エアコンや給湯器など、残す設備の一覧です。
法律で様式が決まった書類ではなく、不動産会社や業界団体の書式によって欄が違います。
屋根を直した。給湯器を替えた。外壁を塗った。
そのときの見積書、領収書、保証書。
これらは、重要事項説明書で説明される書類には入りません。
それでも、捨てないでください。
「いつ、どこを、直したか」。
何年もたつと、記憶はあいまいになります。
そのとき、手元の領収書や保証書が、告知書に書く内容の裏付けになりえます。
6. 書類がそろうと、何が変わるか
書類がそろっていると、買う人が確かめられることが増えます。
ただ、値段にどう響くかは、物件によって違います。
買う人によっても違います。
書類があるから高く売れる、とは言えません。
それでも、確かめられる家と、確かめられない家。
買う人が落ち着いて考えられるのは、どちらか。
その材料を残せるのは、持ち主だけです。
7. 今日からできること
1. 家の書類を、家の中から探す
4章の書類、図面、修繕の見積書・領収書・保証書。引き出し、押し入れ、親の家の金庫。
2. 原本は1か所にまとめる
箱でも封筒でもかまいません。家族にも置き場所を伝えておきます。
3. スマホで撮っておく
原本をなくしたときの控えになります。
4. これから直すときは、書類を残す
見積書、領収書、保証書。工事の日付が分かるものを、同じ場所へ入れます。
5. 書類が見つからないときは
無いから売れない、ということではありません。
何が無いかを先に知っておくと、売るときに慌てずにすみます。
不動産会社に聞いてください。
相続した家なら、亡くなった親の書類の中にあるかもしれません。
家を片付ける前に、紙を探してください。
家の紙は、1か所に。
どの書類が残っているか分からないときは、LINEで聞いてください。返事をするのは宅地建物取引士の川原本人です。https://lin.ee/8wVUuCW
大阪市西成区の不動産屋 TKグランクス株式会社 川原貴諒(宅地建物取引士)
宅地建物取引業 大阪府知事(01)第067136号
出典:国土交通省 報道発表(2026年10月26日) https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001367.html /同 資料 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002027709.pdf /住宅履歴情報の仕組み(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/common/001271071.pdf
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