中古の家、買う前に状態を知るには? 建物状況調査の頼み方と、見る所・見ない所
書いた人:川原貴諒(宅地建物取引士・大阪市西成区)中古を買うとき、家の状態は誰が保証してくれるのか。
売主が誰かで、答えが変わります。
売主さんが個人なら、引き渡しのあとに売主が責任を持つ期間を短くする契約や、責任を持たない契約もあります。
だから、買う前に建物を見てもらってください。
建物状況調査(インスペクションの一つ)です。
この記事で分かること。
調査を誰が、どう頼むか
調査で見る所と、見ない所
重要事項説明書と売買契約書で見る欄
売主が個人のときと、業者のときの違い
大阪市西成区の不動産会社TKグランクスの川原がまとめます。
目次
1. 国の検討会で、話し合いが始まった
2. 建物状況調査とは。誰が調べるか
3. どう頼むか
4. 見る所と、見ない所
5. 書類で見る所
6. 既存住宅売買瑕疵保険
7. 売主が個人か、業者か
8. 買う前に確かめる6つ
1. 国の検討会で、話し合いが始まった
国土交通省は、2026年10月8日に「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」の第1回を開きました。
中古住宅を買う人が、安心して取引できる環境をどう整えるか。その話し合いが始まったところです。
検討会の資料3「背景・課題と検討の方向性(案)」には、「既存住宅のインスペクションや瑕疵保険の普及・充実」が挙がっています。
既存住宅は、中古住宅のことです。瑕疵は、隠れた不具合のことです。
決まったことは、まだありません。第1回の議事要旨も、まだ公開されていません。
検討会の議論とは別に、今の取引は今の仕組みで進みます。
検討会の資料には、こんな数字も載っています。
住宅市場動向調査(令和7年度、国交省の検討会資料より)では、分譲戸建てを買った世帯が中古を選ばなかった理由に、「隠れた不具合が心配だったから」を挙げた割合が30.0%でした。
インスペクションに関する消費者向けアンケート調査(令和4年度、国交省の検討会資料より)では、売買のときにインスペクション等を実施した割合が27.3%でした。
2. 建物状況調査とは。誰が調べるか
建物状況調査は、宅地建物取引業法に出てくる調査の名前です。
調べるのは、建築士で、国土交通大臣が定める講習を修了した人です(宅地建物取引業法施行規則15条の8)。
調べ方は、国の基準で決まっています(既存住宅状況調査方法基準)。
法律は、調査そのものを義務にしていません。業者に決めているのは、調査について書面に書くことです(5章)。
やるかどうかは、取引の当事者が決めます。
国土交通省の手引き(令和6年4月)には、こう書いてあります。
「※全ての瑕疵がないことを約束するものではありません。」
調査は、見た日の建物の状態を記録するものです。不具合が無いことの保証ではありません。
買うかどうかを決めるのは、買う人です。報告書は、その判断の材料です。
3. どう頼むか
気になる家に出会ったら、申し込みの前に、仲介の会社にこう聞いてください。
「この家で、建物状況調査はできますか?」
調査は、家の中に入って見ます。だから、持ち主である売主さんの了承が要ります。
了承が取れるかどうかは、聞いてみないと分かりません。早めに聞くほど、間に合います。
費用は、調査の内容で変わります。頼む前に確かめてください。
僕は、居住用の売買では、建物状況調査の実施を必ず提案しています。売る側にも提案しています。
4. 見る所と、見ない所
見る所は、基礎、土台、柱、壁、屋根、外壁、開口部(窓など)、排水管の一部などです(施行規則15条の7)。
シロアリも範囲に入ります。木造なら、目で見える範囲で、著しい蟻害(シロアリの被害)があるかを見ます(方法基準5条2項)。
細かい調査や、駆除の診断とは別のものです。
範囲に入らないものもあります。
配管(排水管の一部を除く)、設備、雨樋などです。
設備が動くかは、内見のときに自分で確かめてください。分からなければ、不動産会社に聞いてください。
家具の裏など、調べられなかった所は「調査できない」と記録されます。
報告書を受け取ったら、見た所と、見ていない所の両方を読んでください。
見ていない所が多ければ、その分は分かっていません。見た所の結果だけで、安心しないでください。
5. 書類で見る所
調査の話は、3つの書類に出てきます。
①媒介契約書
媒介契約は、主に売主さんが不動産会社に売却を頼むときに結ぶ契約です。その契約書には、調べる人のあっせん(紹介)について書く欄があります(宅地建物取引業法34条の2第1項4号)。
買主として媒介契約を結ぶなら、同じ欄を見てください。
結ばないなら、仲介の会社に「調べる人を紹介してもらえますか」と聞いてください。
②重要事項説明書
契約の前に、宅地建物取引士が説明する書面です。調査を実施したかどうかと、した場合は結果の概要が書かれます(35条1項6号の2イ)。
説明の義務があるのは、1年以内の調査です。鉄筋コンクリート造(マンションに多い造り)や鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅などは、2年以内です(施行規則16条の2の2)。
古い調査は、説明の対象になりません。いつ調べたものかを見てください。
③売買契約書
建物の構造耐力上主要な部分等(基礎・柱など家を支える部分)の状況について、売主と買主の双方が確認した事項を書く決まりがあります(37条1項2号の2)。
あとで「聞いていない」「言った」の話になったとき、手元に残るのはこの紙です。
重要事項説明書と売買契約書は、サインの前に見てください。
6. 既存住宅売買瑕疵保険
中古住宅の売買には、既存住宅売買瑕疵保険があります。検査と保証がセットになった保険です。
売主が不動産業者のとき:業者が保険に入ります
売主が個人のとき:検査をする事業者が保険に入り、買主を保証します
調査をすれば必ず入れる、というものではありません。保険には要件と審査があります。入れるかどうかを決めるのは、保険を引き受ける側です。
何が対象になるか、保険金が出るかどうかも、保険の側が決めます。中身は、保険の案内で確かめてください。
7. 売主が個人か、業者か
買った家が契約の内容と違っていたとき、買主は売主に責任を問えることがあります。これを契約不適合といいます。
売主が誰かで、ここが変わります。
個人の売主:責任を負わない特約(免責特約)や、期間を短くする特約を付けることがあります。ただし、知りながら告げなかった事実は、特約があっても責任を免れません(民法572条)。
業者の売主:引き渡しから2年以上とする特約を除いて、買主に不利な特約は付けられません。業者どうしの取引は除きます(宅地建物取引業法40条)。
特約が無ければ、買主は不適合を知った時から1年以内に、売主に知らせる必要があります。売主が引き渡しの時に知っていたか、重大な過失で知らなかったときは、この期間の制限はかかりません(民法566条)。
売主が知っていたかどうかは、あとから争いになることがあります。責任を問えるかを最後に決めるのは裁判所で、個別の判断は弁護士の仕事です。
だから、買う前に、調査で状態を紙に残しておきます。紙が残っても、責任を問えるかどうかが決まるわけではありません。何も残っていなければ、話の元になる紙もありません。
8. 買う前に確かめる6つ
1. この家で、建物状況調査ができるか
申し込みの前に、仲介の会社に聞きます。売主さんの了承が要ります。
2. 調べる人を紹介してもらえるか
媒介契約を結ぶなら、あっせんの欄を見ます。結ばないなら、仲介の会社に聞きます。
3. 前に調査をしたことがあるか。あるなら、いつか
説明の義務があるのは、1年以内(鉄筋コンクリート造の共同住宅などは2年以内)の調査です。
4. 報告書で、見た所と「調査できない」所はどこか
見ていない所は、分かっていない所です。
5. 重要事項説明書と売買契約書の、調査の欄と双方が確認した事項の欄
何も書いていなければ、何を確かめ合ったのかを聞きます。
6. 売主が個人か業者か。免責特約や、責任を持つ期間の特約があるか
売主が個人なら、ここを一番に見ます。
買う前に、建物を見てもらう。
気になる家で調査ができるか、LINEで聞いてください。返事をするのは宅地建物取引士の川原本人です。https://lin.ee/8wVUuCW
大阪市西成区の不動産屋 TKグランクス株式会社 川原貴諒(宅地建物取引士)
宅地建物取引業 大阪府知事(01)第067136号
出典:国土交通省「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」第1回資料 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000335.html /国土交通省の手引き(令和6年4月)https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001735147.pdf /既存住宅売買瑕疵保険の案内 https://www.kashihoken.or.jp/individuals/kizon/kizonbaibai.php
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