マンションの修繕積立金、国の目安の見直しが始まった。売る前・買う前に今見る書類
書いた人:川原貴諒(宅地建物取引士・大阪市西成区)マンションの修繕積立金。国の目安を見直す検討が始まりました。
国土交通省が2026年10月7日に発表し、10月9日に第1回の検討会を開きました。
ガイドラインの公表は、令和9年(2027年)3月頃の予定です。中身は、まだ決まっていません。
この発表で、いま払っている積立金の額がすぐ変わるわけではありません。額を決めるのは各マンションの管理組合です。
売る人・買う人が今見られるのは、今の書類です。
大阪市西成区の不動産会社TKグランクスが、発表で分かったことと、今の書類で見る4つをまとめます。
1. 国土交通省の発表で分かったこと
令和8年7月の国の基本方針の改正などを受けて、長期修繕計画の標準様式・作成ガイドライン・ガイドラインのコメントの見直しなどを検討します。
検討会の資料に挙がっている主な検討事項は、3つです。
・長期修繕計画作成ガイドラインの見直し
・修繕積立金ガイドラインの見直し
・定期借地権マンションのハンドブックの作成
第2回は11月27日、第3回は令和9年1月29日。
ガイドライン等の公表は、令和9年(2027年)3月頃の予定です。
2. まだ決まっていないこと
資料には、見直しの論点が案として並んでいます。ページには「検討途上」とあります。
・計画を誰が作ったか、どんな前提で作ったかを明示する
・超高層マンション特有の工事項目を足す
・修繕の周期を延ばすなら、その理由を明示する
・修繕の履歴と過去の計画を保管し、活かす
・改良(性能を上げる工事)
取壊し費用の確保を含む、新しい章「マンションの将来を見据えた計画」の案もあります。
修繕積立金の目安の改定案も載っています。ただ、決まったものではありません。この記事では金額を載せません。
目安が上がるのか。積立金が上がるのか。
今の時点では、言えません。
3. 今のガイドラインに書いてあること
今のガイドラインは、2つとも令和6年6月の改定です。
ガイドラインは法令ではありません。国の基本方針も、長期修繕計画作成ガイドラインを「参考に」と書いています。
長期修繕計画
・5年程度ごとに調査・診断をして、見直す
・計画は、工事の内容・時期・費用を「確定するものではありません」
・計画期間は30年以上で、大規模修繕を2回以上含める(管理計画の認定の基準)
修繕積立金
目安は、計画当初の残高、計画期間に積み立てる総額、専用使用料などからの繰入を足して、総専有床面積と計画期間の月数で割って出します。
目安の金額は、令和3年9月の値のままです。
たとえば20階未満・5,000㎡未満なら、1㎡あたり月235〜430円。
幅を外れていても、「直ちに不適切であると判断される訳ではありません」とガイドラインは書いています。
積み立て方は、同じ額で積む均等積立と、段階的に上げる段階増額積立があります。
ガイドラインは、将来の安定性の点で「均等積立方式が望ましい」としています。
段階増額にするなら、初めの額は基準額の0.6倍以上、最後の額は1.1倍以内。
ただし、工事費の高騰などで「大幅に引上げる等を制限するものではない」とあります。
均等積立でも、見直しで増額が要ることがあります。
4. 重要事項説明で説明されるもの
マンションの売買では、契約の前に宅地建物取引士が重要事項を説明します(宅地建物取引業法35条1項6号、同法施行規則16条の2)。
修繕とお金に関わるのは、次の3つです。
・修繕の積み立てについて規約の定めがあれば、その内容と、建物全体ですでに積み立てられている額(規則16条の2第6号)。滞納があれば、その額も告げます
・その部屋の持ち主が払う管理費の額(規則16条の2第7号)。滞納の額も告げます
・建物の維持修繕の実施状況が記録されていれば、その内容(規則16条の2第10号)
長期修繕計画そのものは、この項目に入っていません。
計画の中身は、別の書類で見ることになります。
5. 管理会社が出す書類と、頼む相手
国土交通省のマンション標準管理委託契約書(ひな形)には、管理会社が宅地建物取引業者の求めに応じて、次のことを開示する定めがあります(15条・別表第5)。
・管理規約や長期修繕計画書の写し
・修繕積立金の額と、滞納の額
・修繕積立金の変更予定(有/無/検討中)
・長期修繕計画の有無
・修繕の実施状況と、大規模修繕の予定
「重要事項調査報告書」と呼ばれる書類の、近い根拠がこのひな形です。法令で決まった書類かどうかは、確認できていません。
ひな形なので、すべてのマンションがこの契約とは限りません。
買う人は、仲介の不動産会社に、この書類を見せてほしいと頼みます。
売る人は、何をどこから取り寄せるかを、仲介の不動産会社に聞いてください。
6. 今の書類で見る4つ
1. 長期修繕計画があるか。最後にいつ見直したか
ガイドラインは5年程度ごとの見直しを求めています。計画の費用は確定した額ではないので、いつ時点の見立てかを見ます。
2. 積立金の額と、滞納
今の月の額と、建物全体ですでに積み立てられている額。滞納があれば、その額です。
3. 積立金を変える予定
有・無・検討中のどれか。均等積立でも、見直しで増額が要ることがあるからです。
4. 修繕の実施状況と、これからの予定
いつ、何を直したか。次の大規模修繕はいつか。記録が残っていないマンションもあります。
7. 値段に響くか。額を決めるのは管理組合
積立金や修繕計画が、売り値・買い値にどう響くか。
この発表からは、言えません。ガイドラインは、まだ検討の途中だからです。
積立金の額を決めるのは、そのマンションの管理組合(総会)です。
国の目安が変わっても、それだけで額が変わるわけではありません。
その額が妥当かどうかは、物件ごとに書類を見るしかありません。
決まる前に、今の書類を見る。
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大阪市西成区の不動産屋 TKグランクス株式会社 川原貴諒(宅地建物取引士)
宅地建物取引業 大阪府知事(01)第067136号
出典:国土交通省 報道発表(2026年10月7日)https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000284.html
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