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あなたの空き家、そのままで大丈夫ですか|放置して起きた事故と...

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    あなたの空き家、そのままで大丈夫ですか|放置して起きた事故と損害、今日できる7つの確認

      空き家を放置すると何が起きるのか。屋根の落下による賠償、越境した枝、不法投棄、固定資産税の増額、相続登記の義務化まで、実際に起きている損害と今日からできる確認を宅建士が解説します。

      想定読者 親から相続した実家が空き家になっている方。誰も住んでいないが、特に困ってはいない方。いつか片付けようと思って数年経った方。


      目次

      • 空き家は「何も起きていない」のではなく「まだ起きていない」

      • 屋根や外壁が落ちて人や車に当たったら、誰が責任を負うのか

      • 庭の木と草が、隣の家に負担をかけ続ける

      • 誰も住んでいない家に、人が入る

      • 放置しているほうが、固定資産税が上がることがある

      • 名義が止まったまま時間が経つと、売れなくなる

      • 今日できる7つの確認

      • では、どうするか。5つの選択肢

      • よくある質問

      • まとめ


      空き家は「何も起きていない」のではなく「まだ起きていない」

      空き家を持っている方とお話をすると、多くの方がこうおっしゃいます。

      「特に困っていないんです」

      たしかに、今は困っていません。誰も住んでいないだけで、火事が起きたわけでも、苦情が来たわけでもない。固定資産税を払い続けているだけです。

      ただ、空き家の問題は、じわじわ悪くなるのではありません。

      何年も何も起きず、ある日、一度に来ます。

      台風の翌朝に電話が鳴る。役所から書類が届く。相続の話が出たときに、売れないことが分かる。

      この記事では、実際に起きている類型を5つに分けて整理します。そのうえで、今日この記事を読み終わってからできる確認を7つ挙げます。

      不安を煽るためではありません。動けるうちに動いていただくためです。


      屋根や外壁が落ちて人や車に当たったら、誰が責任を負うのか

      起きていること

      台風で瓦が飛ぶ。強風で外壁材が剥がれる。地震でブロック塀が倒れる。老朽化したアンテナや看板が落ちる。

      落ちた先に人がいれば怪我になります。駐車していた車があれば損害になります。隣家の屋根を壊すこともあります。

      空き家は、誰も住んでいないぶん、劣化に気づく人がいません。住んでいれば「最近、雨漏りがする」「屋根が鳴る」と分かります。空き家では、誰も気づかないまま進みます。

      法律上の考え方

      民法717条に「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」という規定があります。

      建物などの設置や保存に瑕疵があって他人に損害を与えた場合、まずその工作物の占有者が損害を賠償する責任を負います。ただし、占有者が損害の発生を防ぐために必要な注意をしていたときは、所有者が賠償しなければならないとされています。

      ここが空き家で重い意味を持ちます。

      占有者がいない空き家では、所有者が責任を負う側に立ちます。そして所有者の責任については、過失がなくても免れないと解されています。

      つまり「知らなかった」「見に行っていなかった」は、責任を軽くする理由になりません。むしろ見に行っていないことのほうが問題になります。

      保険は続いていますか

      ここで確認していただきたいのが火災保険です。

      人が住まなくなった建物は、保険の契約上の扱いが変わる場合があります。住宅として契約していた保険が、空き家になったことで条件が変わる、あるいは継続できないことがあります。

      そして、屋根が落ちて他人に損害を与えた場合に備えるのは、火災保険そのものではなく、賠償責任に関する補償です。個人賠償責任特約や施設賠償責任保険といったものが該当します。

      契約の内容は保険会社と商品によって異なります。証券を出して、保険会社に「今この建物は空き家だが、この契約は有効か」「他人に損害を与えた場合の補償は付いているか」を確認してください。

      これは電話1本で終わります。


      庭の木と草が、隣の家に負担をかけ続ける

      起きていること

      庭木が伸びて、枝が隣の敷地に入る。落ち葉が隣家の雨樋を詰まらせる。草が伸びて、虫や小動物が住み着く。蜂の巣ができる。

      住んでいれば、年に数回は刈ります。空き家では誰も刈りません。1年で膝の高さ、2年で腰の高さになります。

      近隣の方は、たいてい最初は我慢します。そして限界が来たときに、役所か、こちらに連絡が来ます。

      越境した枝は、隣の人が勝手に切れるのか

      ここは2023年に法律が変わった部分です。

      従来は、隣の土地から越境してきた枝を、越境された側が勝手に切ることはできませんでした。木の所有者に切ってもらうか、裁判で切除を命じる判決を得て強制執行する必要がありました。

      令和5年(2023年)4月1日に施行された改正民法233条により、原則は維持しつつ、次のような場合には越境された土地の所有者が自ら切り取れるようになりました(改正後の民法233条3項1号から3号)。

      • 竹木の所有者に切除するよう催告したにもかかわらず、相当の期間内に切除しないとき

      • 竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき

      • 急迫の事情があるとき

      一方で、切除にかかった費用については、法務省の資料でも、越境について通常は不法行為が成立しうることなどから、竹木の所有者の負担となると考えられるという説明がされています。

      つまり、放置していると、隣の方に切っていただいたうえで、その費用を請求される可能性があるということです。

      近所付き合いの問題としても、良い形ではありません。


      誰も住んでいない家に、人が入る

      起きていること

      割れたままの窓。鍵のかかっていない勝手口。倒れた塀の隙間。

      そこから人が入ります。

      未成年者が肝試しに入る。ホームレスが寝泊まりする。ゴミが捨てられる。放火される。

      不法投棄されたゴミの撤去は、投棄した人が分からなければ、結局は土地の所有者が費用を負担して片付けることになるのが実務です。捨てた人を特定できるケースは多くありません。

      放火は、周囲に燃え広がれば、被害の規模がまったく変わります。

      空き家であることは、外から分かります

      郵便受けに新聞やチラシが溜まっている。ポストからはみ出している。夜になっても電気がつかない。カーテンがない。庭が荒れている。

      これらは全部、外から見える情報です。

      ここを潰すだけでも、リスクは下がります。


      放置しているほうが、固定資産税が上がることがある

      空家法が変わりました

      正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法」といいます。2015年に制定され、2023年12月13日に改正法が施行されました。

      改正の柱の1つが「管理不全空家等」という区分の新設です。

      従来は、著しく保安上危険であるといった状態の「特定空家等」が対象でした。改正後は、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある状態、つまり手前の段階でも行政が指導・勧告できるようになりました。

      勧告を受けると、住宅用地特例が外れます

      土地の上に住宅が建っている場合、固定資産税の課税標準について住宅用地特例という軽減措置があります。小規模住宅用地であれば課税標準が6分の1に軽減されます。

      従来は、特定空家等について勧告を受けた時点で、この特例の対象から外れることになっていました。

      2023年12月の改正により、管理不全空家等についても勧告を受けた時点で、住宅用地特例の対象から外れることになりました。

      特例が外れると、土地の固定資産税は大きく上がります。実際の税額は負担調整措置などにより物件や自治体で異なりますので、具体的な金額はお住まいの市区町村の資産税担当窓口でご確認ください。

      いずれにせよ、放置しているほうが税負担が重くなる方向に制度が動いた、ということです。

      さらに進むと

      指導、勧告、命令と進み、それでも改善されない場合、行政代執行により行政が解体することがあります。その費用は所有者に請求されます。

      自分で解体業者を選ぶことも、時期を選ぶこともできません。

      なお、どの空き家が管理不全空家等や特定空家等に該当するかの判断は、市区町村が行います。個別の該当性についてはこの記事では判断できませんので、お住まいの自治体の空き家担当窓口にご相談ください。


      名義が止まったまま時間が経つと、売れなくなる

      いちばん多い相談がこれです

      「実家を売りたいんですが」とご相談いただいて、登記を取ってみると、名義が亡くなった親のままになっている。ときには、祖父母の代で止まっていることもあります。

      祖父の名義のままであれば、祖父の相続人全員の同意が必要になります。叔父や叔母がすでに亡くなっていれば、その子どもたちに権利が移っています。会ったこともない従兄弟が、実印を押していただく相手になります。

      そして、この人数は年々増えていきます。放っておくほど、増えます。

      相続登記は義務になりました

      2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。

      不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、登記の申請をする必要があります。正当な理由がないのに申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります(不動産登記法164条1項)。

      これは2024年4月1日より前に発生した相続にも適用されます。その場合の期限は2027年3月31日です。

      すぐに遺産分割がまとまらない場合には、相続人申告登記という簡易な手続きも設けられています。ただし、これは暫定的な対応であり、正式な相続登記の代わりにはなりません。

      過料の話よりも重要なのは、時間が経つほど手続きが難しくなるという点です。相続人が増えれば増えるほど、連絡を取ることも、話をまとめることも難しくなります。


      今日できる7つの確認

      ここまで読んで、何から手をつければいいか分からないという方へ。

      まず、この7つを確認してください。どれも今日か今週にできることです。

      1. 登記簿を取る

      法務局の窓口でも、オンラインでも取れます。名義が誰になっているか。抵当権が残っていないか。ここが全部の出発点になります。

      2. 火災保険の証券を出す

      契約が続いているか。空き家になっていることを保険会社に伝えているか。他人に損害を与えた場合の補償が付いているか。保険会社に電話して聞いてください。

      3. 鍵と窓を見に行く

      すべての出入口に鍵がかかっているか。割れた窓、外れた雨戸がないか。1か所でも開いていれば、入られます。

      4. 郵便受けを空にする

      溜まっていれば、空き家だと外から分かります。転送届か、定期的な回収の段取りを決めてください。

      5. 屋根と外壁と塀を、下から見上げる

      浮いている瓦。剥がれかけた外壁。傾いた塀。専門的な診断は必要ありません。素人の目で見て「落ちそう」と思うものがあるかどうかです。あれば、専門業者に見てもらってください。

      6. 庭の木が、隣に入っていないか見る

      境界を越えて枝が伸びていないか。落ち葉が隣家に落ちていないか。伸びていれば、切る段取りを決めてください。

      7. 年に何回、誰が見に行くかを決める

      これが最後で、いちばん大事です。

      「気づいたときに」では見に行きません。カレンダーに入れてください。年4回、季節ごとに1回。台風の後は必ず1回。遠方で難しければ、空き家の管理サービスを使う方法もあります。


      では、どうするか。5つの選択肢

      管理を続けるにしても、いつかは方向を決めることになります。選択肢は大きく5つです。

      売る

      いちばん確実に手離れします。ただし、名義が整理されていること、境界の状況が分かることが前提になります。建物付きのまま売るか、解体して土地として売るかで、買う人の層も価格も変わります。

      貸す

      家賃収入が入ります。ただし、貸せる状態にするための工事費が先に出ます。そして、入居者がいる状態では売りにくくなります。将来売るつもりがあるなら、そこも含めて考える必要があります。

      管理を委託する

      方向を決めるまでの時間稼ぎとしては有効です。定期巡回、通水、換気、庭木の手入れ、郵便物の回収。費用はかかりますが、管理不全の状態に陥ることは防げます。

      解体して土地にする

      危険な状態を根本から解消できます。売りやすくもなります。ただし、建物がなくなることで住宅用地特例の対象から外れ、土地の固定資産税が上がる点は理解しておく必要があります。解体費用も先に出ます。

      自分で使う

      セカンドハウス、事務所、倉庫。使い道があるなら、それがいちばん無駄がありません。

      どれを選ぶにしても、先に必要なもの

      5つのどれを選ぶにしても、共通して必要になるものがあります。

      現状を紙にすることです。

      登記簿、公図、地積測量図。境界標がどうなっているか。建物の状態。固定資産税の額。前面道路の種類と幅。再建築ができるかどうか。

      これがないと、どの選択肢も検討できません。売るにしても、貸すにしても、解体するにしても、最初にこれを揃えることになります。

      そして、これを揃えるのに時間がかかります。名義が止まっていればさらにかかります。

      だから、方向が決まっていなくても、現状を調べることだけは先にできます。


      よくある質問

      Q. 誰も住んでいませんが、月に1回は見に行っています。これでも管理不全空家等になりますか。

      管理不全空家等や特定空家等に該当するかどうかの判断は、市区町村が行います。判断の基準や運用は自治体によって異なりますので、ご心配であればお住まいの自治体の空き家担当窓口にご相談ください。一般論としては、定期的に見に行き、危険な箇所に手を入れている状態は、放置されている状態とは異なります。

      Q. 空き家を解体すると、固定資産税は上がりますか。

      建物がなくなると住宅用地特例の対象から外れるため、土地の固定資産税は上がる方向になります。ただし具体的な金額は物件と自治体によって異なります。市区町村の資産税担当窓口でご確認ください。

      Q. 隣の家から、木を切ってほしいと言われました。応じないといけませんか。

      越境している枝については、原則として竹木の所有者が切除する立場になります。応じない場合、一定の要件のもとで隣地の方が自ら切り取ることができ、その費用を請求される可能性もあります。話し合いで対応されることをお勧めします。

      Q. 相続登記をしていませんが、まだ売る予定はありません。急ぐ必要はありますか。

      売る予定がなくても、相続登記は義務化されています。2024年4月1日より前の相続についても2027年3月31日が期限です。また、時間が経つほど相続人が増え、手続きが難しくなります。早いほうが確実に楽です。

      Q. 兄弟で共有になっています。一人で決められますか。

      売却など、処分にあたる行為は共有者全員の同意が必要になるのが原則です。まずは共有者が誰かを登記簿で確認し、連絡が取れる状態にしておくことをお勧めします。

      Q. 相談だけでも大丈夫ですか。

      大丈夫です。売る前提のご相談である必要はありません。まず現状を把握したい、という段階からご相談いただけます。


      まとめ

      空き家は、放っておいて悪くなるだけの資産ではありません。

      手を入れれば、売れます。貸せます。使えます。

      ただし、動かせるうちに動かす必要があります。

      屋根が落ちてからでは、賠償の話になります。勧告を受けてからでは、税額が変わります。相続人が増えてからでは、話がまとまりません。

      まずは登記簿を1通取ってください。

      そこに書いてあることが、すべての出発点になります。

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