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中古住宅を買ってリフォーム|見積もりを取る順番を間違えると、物件を逃します
中古住宅を買って、自分好みにリフォームしたい。
そう考えて動いているのに、なぜか物件が決まらない。気に入った家があったのに、検討している間に売れてしまった。
そういう相談を受けることがあります。
本人はきちんと検討しているつもりです。慎重に、丁寧に進めている。むしろ真面目な方ほど、この状態に陥ります。
原因の一つが、リフォームの見積もりの取り方にあります。
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いい物件から、先に消えていきます
気に入った物件が見つかった。ではリフォームにいくらかかるか、見積もりを取ろう。
ここまでは正しい判断です。
問題は、その中身です。
多くの方が、こういう見積もりを依頼します。
キッチンを新しくしたい。お風呂も洗面所も。トイレも替えたい。床は無垢材にしたい。壁は珪藻土に。間取りも少し変えたい。外壁と屋根も、この際だから。
理想の家の絵を、先に描こうとするわけです。
気持ちはよく分かります。せっかく買うのだから、納得のいく形にしたい。
ただ、この見積もりには時間がかかります。
現地調査に一回。設計や図面の作成に数日から一週間。設備の選定と見積もりの作成に、さらに時間。
一社に依頼して、二週間から一か月。複数社で比較すれば、もっとかかります。
その間、物件はどうなっているか。
待ってくれません。
条件のいい物件には、複数の人が動いています。あなたが見積もりを待っている間に、別の方が買付を入れています。
そして、こう聞かされます。
申し訳ありません、他で決まってしまいました。
見積もりは、二回に分けてください
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
見積もりを一回で完結させようとしないでください。二回に分けます。
一回目。物件を決める前。
目的は、資金計画を組むことです。
理想の家をつくるための見積もりではありません。
その家に、住める状態にするために、いくらかかるか。
これだけを出します。
内容を絞れば、数日で概算が出ます。現地を見て、その場である程度の判断ができる項目に限るからです。
この金額があれば、物件価格と合わせた総額が計算できます。総額が分かれば、その物件を買うかどうかを決められます。
二回目。契約したあと。
物件を押さえてから、本番の見積もりを取ります。
ここで初めて、理想の話をします。
キッチンをどうするか。床材は何にするか。間取りを変えるか。
時間をかけて構いません。物件はもう自分のものになることが決まっています。誰かに取られる心配はありません。
複数社から取って、比較して、じっくり選べます。
一回目に見るべきもの
一回目の見積もりで確認するのは、住むために必要な部分です。
雨漏りは止まっているか。
天井のシミ、押入れの上部、屋根裏。雨漏りがあれば、まずここを直さなければ他の工事が無駄になります。内装をきれいにしても、雨が入ってくれば同じことの繰り返しになります。
給排水は使えるか。
水道管とガス管の状態。給湯器は動くか。排水の詰まりはないか。築年数によっては、配管そのものの引き直しが必要になることがあります。これは金額が大きくなります。
電気は足りているか。
古い住宅では、契約アンペア数が今の生活に足りないことがあります。分電盤の交換や、配線の引き直しが必要になる場合があります。
屋根と外壁の状態。
すぐに直す必要がなくても、何年後に必要になるかを把握しておきます。築年数と前回の修繕時期から、おおよその見当がつきます。
設備の作動。
エアコン、換気扇、コンロ、給湯器。現地で実際に動かして確認します。
二回目でやること
物件の契約が済んだら、本番の見積もりに入ります。
予算の範囲で優先順位を決める。
一回目で出した住むための費用と、実際に使える予算との差額。これが理想のために使える金額です。
その範囲で、何を優先するかを決めます。
毎日使う場所から手をつけるのが基本です。キッチン、風呂、トイレ。ここは生活の質に直結します。
一度で全部やらなくていい。
これも大切な点です。工事は分割できます。
今回は水回りだけ。二年後に床と壁。五年後に外壁。
住みながら、順番にやっていく。これで何の問題もありません。
一度で完成させようとすると、予算が足りなくなります。そして予算が足りないという理由で、物件そのものを諦めることになります。
物件を諦めるより、工事を分ける。順番はこちらです。
総額で考えてください
中古住宅の購入では、物件価格だけを見ると判断を誤ります。
物件にかかるもの。
物件価格。仲介手数料。登記費用。印紙代。住宅ローンを利用する場合の事務手数料、保証料、抵当権設定費用。火災保険料。固定資産税等の精算金。
そして不動産取得税。これは決済のときではなく、購入から三か月から六か月後に納税通知が届きます。
リフォームにかかるもの。
工事費用。設計費用が別途かかる場合があります。工事中の仮住まいと引越し費用。住みながらできない工事の場合です。
その他。
引越し費用。家具と家電。カーテンと照明。
これらを全部足したものが、実際に必要な金額です。
物件価格が予算内でも、総額で超えることがあります。
一回目の見積もりは、この総額を出すために取ります。
見積もりだけでは分からないこと
リフォーム会社の見積もりは、工事の費用を出すものです。次のようなことは、見積もりでは分かりません。
増改築ができるかどうか。
間取りを大きく変えたい。増築したい。こうした工事は建築基準法上の制限を受けることがあります。建ぺい率、容積率、道路の状況、用途地域。
そして、そもそも建て替えができない土地もあります。
この判断は行政と設計者が行います。不動産会社もリフォーム会社も、断定することはできません。
構造に関わること。
柱を抜きたい。壁を取り払って広くしたい。
構造上、抜けない柱があります。抜けるかどうかは建築士が図面と現場を見て判断します。
地中のこと。
前の建物の基礎が残っている。地盤改良の跡がある。浄化槽が埋まったままになっている。
こうしたものは掘るまで分かりません。書類が残っていれば追えます。残っていなければ、分からないという事実を前提に進めることになります。
だから、二段階で確認します。
物件を検討する段階では、できるかどうか分からないことを確認する時間はありません。
まず住める状態にする費用で判断する。物件を押さえてから、できることとできないことを設計者と確認する。
この順番であれば、時間の使い方が合理的になります。
買う前に、不動産会社に聞いてほしいこと
リフォームを前提に中古住宅を買う場合、確認しておくべきことが四つあります。
一つ。建築確認済証と検査済証はありますか。
将来、増改築や大規模な工事をする際に必要になることがあります。古い物件では紛失していることが多いものです。ない場合、役所で建築計画概要書を取得できることがあります。
二つ。地盤改良の記録はありますか。
近年の建物では、地盤調査と改良が行われていることがあります。改良体は地中に残るため、将来の建て替え時に撤去費用が生じる可能性があります。
三つ。前面道路の種類は何ですか。
建て替えができるかどうかに関わります。道路の幅が四メートル未満の場合、敷地を後退させる必要が出てくることがあります。
四つ。この物件で、できないことは何ですか。
これがいちばん大事です。
できることを聞くと、できることだけが返ってきます。できないことを聞いてください。
答えられない会社であれば、調べていない可能性があります。
おわりに
私たちの仕事は、物件を紹介して契約することではないと考えています。
買われた方が、その家で満足して暮らせるようになるまでが仕事です。
だからリフォームの話にも入ります。見積もりの取り方、業者の選び方、工事の順番。
不動産会社の仕事ではない、と思われるかもしれません。
ただ、物件だけを渡して終わりにすると、そのあとで困る場面が必ず出てきます。
そして、困ったときに相談する相手がいないというのが、いちばん不安なことだと思います。
中古住宅の購入とリフォームを合わせてご検討中でしたら、まだ物件が決まっていない段階でご相談ください。
見積もりをどう取るか、総額をどう組むか。そこから一緒に考えます。
この記事のまとめ
見積もりは二回に分ける。
一回目は物件を決める前、住むための最低限で。
二回目は契約したあと、時間をかけて。
工事は一度で全部やらなくていい。分割できる。
物件価格ではなく、総額で判断する。
できることではなく、できないことを聞く。
物件は待ってくれません。工事は待ってくれます。
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川原貴諒
TKグランクス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士
大阪府知事(1)第67136号
不動産歴20年。注文住宅、分譲、造成、賃貸、売買仲介のすべてを経験してきました。
家は買って終わりのものではないと考えています。住みながら手を入れて、必要になれば貸すことも売ることもある。その先まで見て提案するのが仕事だと思っています。
Xでも不動産の実務について毎日発信しています。
https://x.com/tkworks88
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