固定資産税の起算日、関東と関西で違う理由|大阪の宅建士が解説
西成区の不動産売却|長屋・空き家・相続物件の査定と売り方
相続人が110人。誰も動けない空き家の現実と、所有者に降りかかる5つの不利益。
全国の空き家が900万戸を超えた。その6割の原因が「相続」だ。
東大阪市で実際に起きている話がある。昭和40年代に所有者が亡くなり、その後何十年もかけて相続が繰り返された結果、相続人が110人にまで広がった物件がある。110人全員の同意を得なければ、土地を売ることも建物を壊すこともできない。
これは極端な例ではない。相続を繰り返すことで、きょうだいの子・孫にまで権利が広がり、もともとの所有者の顔も名前も場所もわからない状態になる。相続人が増えるほど「誰の責任か」がぼやけ、全員が困っているのに誰も動けない状態になる。
行政も動けない
堺市では2024年5月、屋根や壁が崩れた危険な空き家を行政代執行で解体した。費用は約450万円。しかし2年近くたった今も相続人を特定できておらず、その費用は堺市の負担になる可能性が高い状況だ。市民の税金が使われている。
行政が動ける段階まで進んだ時には、建物の危険だけでなく、税金負担と請求先不明の問題まで膨らんでいる。それが現実だ。
あなたが空き家を「持ち続ける」と何が起きるか
「まだ大丈夫」と思っている間に、所有者には次の5つの不利益が降りかかる。
① 固定資産税が最大6倍になる
通常、建物が建っている土地は固定資産税の住宅用地特例で最大6分の1に減額されている。だが管理不全と認定されて行政から勧告を受けた瞬間、この特例が外れて固定資産税が最大6倍に跳ね上がる。年間10万円以上の税負担増加になるケースがある。持っているだけで毎年損をし続ける状態だ。
② 過料・行政代執行・財産差し押さえ
行政からの改善勧告や命令に従わない場合、最大50万円の過料が科せられる。さらに所有者が改善を行わない場合、市町村長が強制的に修繕や解体を行う行政代執行が行われ、費用はすべて所有者が負担することになる。解体費用を支払えない場合は財産の差し押さえが行われることもある。預貯金が差し押さえられ、最終的には不動産まで競売にかけられる。
③ 損害賠償責任を負う
倒壊・外壁落下で通行人に怪我をさせた場合、工作物責任(民法717条)でオーナーが責任を負う。老朽化した電気配線からの出火で隣家に類焼した場合も同様だ。数千万円規模の賠償請求が来る可能性がある。空き家を持っているだけで、そのリスクを背負い続けている。
④ 犯罪の温床になる
空き家は放火・不法投棄・不法占拠・犯罪拠点として利用されるリスクがある。万が一空き家が火災の火元となった場合、近隣住民への謝罪や補償問題に発展する。知らない間に犯罪に巻き込まれている可能性がある。
⑤ 資産価値が下がり続ける
放置するほど建物の劣化が進む。数年で売却可能な物件が解体前提の土地に変わる。選択肢が減り、手元に残るお金も減る。時間は所有者の味方をしない。
放置するほど選択肢が減る
110人の相続人という数字は、何十年もの先送りが積み重なった結果だ。その出発点は、誰かが「まだ大丈夫」と思った瞬間だったはずだ。
相続登記は2024年4月から義務化された。相続を知った日から3年以内に名義変更をしなければ過料の対象だ。2026年4月からは住所変更登記も義務化された。国は確実に「放置のコスト」を上げている。
親が高齢になってきた。実家が将来空き家になりそうだ。そう感じたなら、今すぐ動け。売る・貸す・活用する。選択肢があるうちに決断することが、家族全員を守ることになる。
空き家になる前の判断が、最も大切だ。
TKグランクス株式会社 川原貴諒
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