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実家を相続したら、最初にやること|売る前に確認する7つ

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    実家を相続したら、最初にやること|売る前に確認する7つ

      はじめに|「とりあえず不動産屋に査定してもらおう」の前に

      親が亡くなり、実家を相続した。

      あるいは、まだ相続していないけれど、そう遠くない将来のことが気になっている。

      そういう方から相談を受けることがあります。多くの場合、最初の一言はこうです。

      「いくらくらいで売れますか」

      気持ちは分かります。金額が分からないと、何も決められない気がする。

      ただ、順番が逆です。

      金額は、確認すべきことを確認した後にしか出せません。

      確認しないまま出した金額は、後から必ず変わります。そして下がります。

      この記事では、実家を相続したときに確認すべきことを7つ挙げます。売ると決めていなくても構いません。むしろ、決める前に読んでいただきたい内容です。


      1. 誰が相続人なのかを確定させる

      最初にやるべきことは、査定ではありません。

      相続人が誰なのかを確定させることです。

      「うちは兄と私だけです」

      そう思っていても、確認が必要です。戸籍を遡ると、知らなかった相続人が出てくることがあります。

      • 親に前の結婚があり、そのときの子がいた

      • 認知した子がいた

      • すでに亡くなっている兄弟の子(甥・姪)が相続人になっている

      こうしたケースは珍しくありません。

      不動産を売るには、相続人全員の合意が必要になります。 一人でも欠けたら、話は進みません。

      やること

      被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を集めます。本籍地の市区町村で取得します。転籍を繰り返している場合、複数の役所に請求することになります。

      これは手間がかかる作業です。司法書士に依頼することもできます。

      よくある失敗

      査定を先に取り、売却の話が進んでから相続人の問題が出てくる。

      買主が見つかって契約直前に「叔父が反対している」となると、それまでの時間がすべて無駄になります。買主にも迷惑がかかります。


      2. 登記の名義を確認する

      法務局で登記事項証明書を取得します。1通600円程度です。

      ここで見るのは3つです。

      名義は誰になっているか

      亡くなった親の名義になっているとは限りません。

      祖父の名義のままだった。 これが実際にあります。

      親の代で相続登記をしていなかった場合、祖父から親、親から自分へと、二段階の相続が発生している状態になります。これを数次相続といいます。

      この場合、祖父の相続人全員を確定させる必要が出てきます。相続人が十人を超えることもあります。

      なお、相続登記は義務化されています。詳しい期限や過料の内容は法務省の案内をご確認ください。

      抵当権が残っていないか

      登記事項証明書の「乙区」という欄を見ます。

      住宅ローンを完済していても、抹消の手続きをしていなければ登記は残ったままです。

      古い抵当権が残っている場合、金融機関が合併や商号変更を経ていることがあり、抹消の書類を取得するだけで数週間かかることがあります。

      売却を決めたら、早めに着手すべき項目です。

      土地と建物の両方を確認する

      土地だけ、建物だけを見て終わらせないでください。名義が違っていることがあります。

      土地は親名義、建物は子名義。 これもよくあるパターンです。


      3. 境界がはっきりしているかを確認する

      土地を売るとき、必ず問題になるのが境界です。

      「塀のところが境界です」

      親からそう聞いていても、それが登記上の境界と一致しているとは限りません。

      確認すること

      法務局で「地積測量図」があるかを確認します。備え付けられていない土地も多くあります。

      現地で境界標を探します。コンクリート杭、金属プレート、鋲など。四隅にあるはずのものが、一つしか見つからないこともあります。

      なぜ重要なのか

      境界が確定していないと、買主が測量を求めることがあります。測量には費用と時間がかかります。

      そして隣地の所有者の立会いが必要になります。

      隣の方が遠方に住んでいる、相続で名義が変わっている、関係が良好でない。こうした事情があると、確定までに数か月かかることがあります。

      親が元気なうちに、隣の方との関係を聞いておくことをお勧めします。


      4. 越境がないかを確認する

      境界と並んで多いのが、越境の問題です。

      現地を歩いて、次を見てください。

      • 塀やブロックが境界を越えていないか

      • 隣家の屋根や雨樋が敷地に出ていないか

      • エアコンの室外機、給湯器が越えていないか

      • 樹木の枝や根が伸びていないか

      • 隣家の物置や自転車が置かれていないか

      こちらが出している場合も、入られている場合も、どちらも確認します。

      越境があった場合

      すぐに解消する必要はありません。多くの場合、建て替えのときに解消する形になります。

      大切なのは、その約束を書面にしておくことです。

      「将来、建て替えの際に解消する」という内容の覚書を、隣地の方と交わします。

      そして必ず入れるべき一文があります。

      この覚書の内容を、双方の相続人や、将来の所有者にも引き継ぐこと。

      これがないと、隣の家が売られたときに、新しい所有者に対して話が最初からになります。


      5. 前面道路の状況を確認する

      家の前の道が、どういう道なのかを確認します。

      見た目は同じ道でも、扱いがまったく違うことがあります。

      市が管理する道路か、私道か

      法務局で公図を取り、道路部分に地番が振られているかを見ます。地番があれば、それは誰かの所有地です。

      私道の場合、次の点が問題になります。

      • 通行について承諾を得ているか

      • 水道管やガス管を引き直すとき、掘削の承諾が必要になるか

      • 承諾の書面はあるか

      「昔から通っているから大丈夫」は、書面ではありません。

      所有者が代替わりしたときに、話が変わることがあります。

      幅が4メートル未満の場合

      道の幅が4メートル未満の場合、建て替えの際に敷地を後退させる必要が出てくることがあります。これをセットバックといいます。

      後退した部分は、建ぺい率や容積率の計算に入りません。つまり、建てられる建物が小さくなります。

      土地の広さだけで判断すると、実際に建てられる大きさとの差に驚くことになります。

      なお、後退の要否や範囲は行政の判断となりますので、市区町村の建築を担当する部署にご確認ください。


      6. 建物の状態と、書類の有無を確認する

      建物については、二つを見ます。

      書類が残っているか

      • 建築確認済証

      • 検査済証

      • 増改築をしたときの図面や契約書

      • 地盤改良の記録

      • リフォームの履歴

      親の代の書類は、処分されていることが多いものです。ただ、あれば大きな価値があります。

      特に地盤改良の記録は重要です。

      近年の新築では地盤調査と改良が標準的に行われます。改良体は地中に残るため、将来の建て替え時に撤去費用が生じることがあります。書類があれば費用の見積もりが取れますが、なければ買主にとって読めない負担になります。

      書類がない場合、市区町村で「建築計画概要書」を取得できることがあります。建築確認を受けた記録が残っていれば、当時の内容を追うことができます。

      建物の中の状態

      長く住んでいなかった家は、傷んでいることがあります。

      • 雨漏りの跡

      • 床の傾き

      • 給排水の不具合

      • シロアリの被害

      住んでいた本人が気づいていないこともあります。年に一度しか帰っていない実家であれば、なおさらです。


      7. 税金のことは、税理士に相談する

      ここは正直にお伝えします。

      不動産業者は、税額を計算できません。

      相続税、譲渡所得税、特例の適用可否。これらは税理士の領域です。

      私たちが「だいたい○○万円くらいですよ」と言うことはできますが、それは目安ですらありません。個別の事情によって結論が変わるからです。

      ただし、知っておいてほしいこと

      売却のタイミングによって、使える特例が変わることがあります。

      期限が設けられている制度もあります。「後で考えよう」としているうちに、使えたはずの制度が使えなくなることがあります。

      だからこそ、売ると決める前に、一度税理士に相談しておくことをお勧めします。

      相談先が分からなければ、不動産業者に紹介を頼んでください。付き合いのある税理士がいる業者は多くあります。


      確認が終わってから、査定を取る

      7つを確認したうえで、初めて査定に意味が出てきます。

      そして、査定を取るときにお願いしたいことが二つあります。

      一つ目|「いくらで売れますか」ではなく「なぜその金額ですか」と聞く

      金額だけを聞くと、高い金額を言う業者が良く見えます。

      高く出せば、売主は喜びます。だから高い金額を言う業者が現れます。

      そして、その金額では売れません。

      三か月動かず、価格を下げ、また動かず、下げる。半年後、最初の査定額より安く決まる。

      こういうことが起きます。

      だから聞いてください。

      なぜその金額なのか。近隣でいくらで売れた実績があるのか。この金額なら、どれくらいの期間で決まる見込みなのか。

      金額と期間はセットです。

      二つ目|手元にいくら残るかを聞く

      売却価格が、そのまま手に入るわけではありません。

      • 仲介手数料

      • 印紙代

      • 抵当権抹消の費用

      • 測量費用(必要な場合)

      • 残置物の処分費用

      • 譲渡所得が生じる場合の税金

      長く住んだ家の家財の処分は、想像より費用がかかります。一戸建て一軒で数十万から、場合によってはそれ以上になります。

      知りたいのは売却価格ではなく、手取り額のはずです。

      これを最初に出してくれる業者を選んでください。


      おわりに|急がなくていい。ただし、順番は守る

      相続した実家をどうするか。

      すぐに決めなくて構いません。売る、貸す、住む、そのまま持つ。どれも選択肢です。

      ただ、この記事で挙げた7つは、決める前に確認しておいてください。

      理由は単純です。

      これらは時間が経つほど確認しづらくなるからです。

      相続人は増えます。境界を知っている人はいなくなります。書類は処分されます。隣の方も代替わりします。

      今なら聞ける人が、五年後にはいないかもしれません。

      そして、もし親御さんがまだお元気なら、今のうちに一緒に確認しておくことを強くお勧めします。

      塀はいつ建てたのか。隣の方と何か話したことはあるか。書類はどこにあるか。

      この会話ができるかどうかで、十年後がまったく変わります。


      相談先の目安

      内容

      相談先

      相続人の確定、相続登記

      司法書士

      税金、特例の適用

      税理士

      境界の確定、測量

      土地家屋調査士

      遺産分割で争いがある場合

      弁護士

      建て替えの可否、法令上の制限

      市区町村の建築担当課

      売却の可否、価格、進め方

      不動産業者

      不動産業者が答えられる範囲は、実はそれほど広くありません。

      「それは私の領分ではありません」と言える業者を選んでください。

      何でも答えてくれる業者より、そちらのほうが結果的に安全です。


      この記事を書いた人

      川原貴諒(かわはら たかあき) TKグランクス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士 大阪府知事(1)第67136号

      不動産歴20年。注文住宅、分譲、造成、賃貸、売買仲介のすべてを経験してきました。

      不動産は一生に一度の買い物だと言われますが、私はそう思っていません。住み替えることも、貸すことも、相続することもある。だからこそ、その先まで見て提案するのが仕事だと考えています。

      実家の相続、空き家の扱い、売却のご相談を承っています。売るかどうか決まっていない段階でも構いません。

      Xでも不動産の実務について毎日発信しています。 @tkworks88

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