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シロアリ被害は「知らなかった」では済まない 中古住宅と床下の...

    シロアリ被害は「知らなかった」では済まない 中古住宅と床下の話

    書いた人:川原貴諒(宅地建物取引士・大阪市西成区)

      基礎の表面を這う細い土の筋(蟻道)は、家の外から分かるシロアリのサインです。大阪市西成区の不動産会社TKグランクスが、中古住宅を持っている方・これから売る方・買う方向けに、シロアリの見つけ方と売買で気をつけることを説明します。現状のまま引き渡す特約や免責の特約があっても、それだけで売主が守られるとは限らないので(争いになったときに決めるのは裁判所です)、床下まで確かめて事実を開示してから取引します。

      家の周りに、土でできた細い線が走っていないでしょうか。

      基礎の表面を這うように伸びる、幅数ミリから1センチほどの土の筋。これは蟻道(ぎどう)と呼ばれる、シロアリの通り道です。シロアリは光と乾燥に弱いため、土でトンネルを作り、その中を通って地面から家の木材まで移動します。つまり、家の外からでも分かるシロアリのサインです。

      僕は先日、売却予定の中古住宅でシロアリ点検に立ち会いました。床下では、コンクリートの土間から床の木材に向かって蟻道が立ち上がり、外では基礎の表面を土の線が走っていました。専門業者の点検に同行すると、写真や図面だけでは分からないことがよく見えます。今回はその現場で学んだことを、住まいを持つ方、これから中古住宅を買う方、売る方に向けてまとめます。

      シロアリ被害の主犯は2種類

      日本の住宅でシロアリ被害を起こす主な種類は、ヤマトシロアリとイエシロアリの2つです。

      ヤマトシロアリは、被害が基礎部分や床下までで止まることが多いとされています。一方で厄介なのがイエシロアリです。加害力が強く、被害が2階まで及ぶことがあります。床下だけ確認して安心するのは危険だということです。

      羽アリを見かける時期にも違いがあります。ヤマトシロアリは4月から5月ごろ、雨上がりの昼間に群れで飛びます。イエシロアリは6月から7月ごろ、夕方から夜にかけて明かりに集まります。

      ここで注意してほしいのは、羽アリは巣が成熟したサインだということです。羽アリを見た時点で、被害はすでに数年進んでいることが少なくありません。また、羽アリが飛ぶのは春から夏ですが、シロアリ本体は土や木材の中で一年中活動しています。冬だから安心、ということはありません。

      売買では「知らなかった」は通用しない

      シロアリは、住まいの健康だけでなく、不動産の売買にも大きく関わります。

      参考になる裁判例があります。現状のまま引き渡す特約(現況有姿)付きで売買された中古住宅で、引き渡し後にシロアリ被害が見つかったケースです。売主は被害を知らなかったと主張しましたが、裁判所は契約時点で建物がシロアリに侵食されていたと認定し、補修費用などを含めて約718万円の支払いを売主に命じました(東京地裁 平成18年判決)。

      現状有姿の特約があっても、免責の特約があっても、それだけで売主が守られるとは限りません。特に、売主が被害を知りながら告げなかった場合には、責任を免れない傾向にあります。過去にシロアリ被害があり駆除した場合でも、その事実を買主に伝える義務は残ります。

      だからこそ、売る側にとっても買う側にとっても、答えは同じです。床下まで確認したうえで、事実をすべて開示して取引する。これが結局、売主も買主も守る唯一の方法です。

      今日からできる予防はシンプル

      シロアリ対策というと高額な薬剤処理を思い浮かべる方が多いのですが、その前にできることがあります。点検業者の方も、まずはこの2つだと言っていました。

      1つ目は換気です。シロアリは湿った家を好みます。床下や基礎まわりの換気口を物で塞がず、風の通り道を確保してください。

      2つ目は、家の周りに木材を置かないことです。地面に直置きされた木材、段ボール、庭の切り株は、シロアリにとって餌場そのものになります。餌場から基礎へ、基礎から家へと、侵入ルートが完成してしまいます。

      そのうえで、月に一度でいいので家の周りを一周し、基礎の表面に土の線がないか、窓際や玄関に羽アリの羽が落ちていないかを見てください。早く気づけば、被害も費用も小さく済みます。

      中古住宅は、床下まで見てから売る、買う

      僕は中古住宅をご案内する際、ホームインスペクション(住宅診断)を自費で手配しています。シロアリに限らず、見た目では分からないリスクを確認したうえで、良い点も注意点も正直にお伝えするためです。

      家は買って終わりではなく、守るものです。そして売るときは、隠さず開示することが、売主自身を守ることにつながります。

      基礎の土の線が気になる、羽アリを見かけた、売却前に建物の状態を確認しておきたい。そんなときは、写真1枚からで構いませんので、お気軽にご相談ください。

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