なぜ、居住用の売買に必ずホームインスペクションを入れるのか
書いた人:川原貴諒(宅地建物取引士・大阪市西成区)当社では、居住用の中古住宅の売買仲介において、必ずホームインスペクション(住宅診断)の実施をご提案しています。費用は当社が負担する取り扱いをしています(物件や契約内容により対象外となる場合があります)。インスペクションを入れたくないという売主様のご依頼もお受けします。その場合は、入れたときのメリットと、入れないときのデメリットを先にご説明します。
これは営業方針というより、取引を安全に進めるために欠かせないものだと考えています。理由をご説明します。
「契約不適合免責」は、保険ではありません
中古住宅の売買では、売主様の責任を免除する特約を入れることがあります。いわゆる契約不適合免責です。
「免責にしてあるから、後から何か出ても大丈夫」
そう考えている方は、売主様にも業者にも少なくありません。しかし、この特約は万能ではありません。
民法では、売主が知りながら告げなかった事実については、免責特約の効力が及ばないとされています。つまり、後から不具合が発覚したとき、争点は「売主が知っていたかどうか」に移ります。
知らなかったことを、どう証明するのか
ここが実務上、最も厄介な点です。
物件状況等報告書に書かなかった不具合について、売主様が知っていたのではないかと争われることがあります。売主様が宅建業者で、買主様が宅建業者でない場合は、責任を負わないとする特約など、民法より買主様に不利な特約は宅地建物取引業法により無効になります(不具合を知らせる期間を引渡しから2年以上とする特約は認められています)。
そして、争いになったとき、売主様は「知らなかった」ことを主張する側に立ちます。知らなかったことの証明は、知っていたことの証明より難しい。
引渡しから何年も経ってから、記憶と書類だけで争うことになります。
シロアリと雨漏りが厄介な理由
不具合の中でも、シロアリの食害と雨漏りによる腐朽は特に問題になりやすいものです。
理由は単純で、見えないからです。床下、壁の内部、小屋裏。日常生活の中で目にする場所ではありません。
売主様が長年住んでいても、本当に気づいていない場合があります。悪意がなくても、結果として「告げなかった」状態になる。
裁判例では、築20年を超える建物で現況有姿の合意があった場合でも、買主が通常の注意では発見できないシロアリ被害は隠れた瑕疵にあたるとして、売主に支払いが命じられた事案があります。
築古だから、現況有姿だから、免責にしたから。これらは安全を保証するものではありません。
だから、先に見てもらう
ホームインスペクションは、第三者である専門家が建物の状態を調査し、書面にまとめるものです。
これを契約前に行うと、次のことが起きます。
不具合があれば、契約前に判明します。買主様は、それを承知したうえで購入するかどうかを判断できます。売主様は、把握していなかった不具合を告知できます。
つまり、「知っていたかどうか」で後から争う土俵に、そもそも上がらなくなります。
不具合が見つかることを恐れる必要はありません。見つかった場合は、価格や条件に反映させて合意すればよい。問題なのは、見つからないまま引き渡すことです。
調査の費用について
当社では、ホームインスペクション(建物状況調査)の費用を当社が負担する取り扱いをしています(物件や契約内容により対象外となる場合があります)。
売主様に追加の負担をお願いすると、実施の判断が費用の話になってしまうためです。実施するかどうかを、金額で迷ってほしくありません。
インスペクションを入れない場合について
インスペクションの実施に同意いただけない場合も、ご依頼はお受けします。ただし、入れたときのメリットと、入れないときのデメリットを、ご依頼の前にご説明します。
ここまで説明するのは、後から争いになったとき、最も困るのが売主様だからです。引渡しが済み、代金を受け取り、次の生活が始まった後に、数百万円の請求が来る可能性がある。
そうなる前にお伝えするのが、仲介業者の仕事だと考えています。
当社の考え方
悪い情報ほど、先にお伝えします。
見つかったら困る、ではありません。見つからないまま引き渡すほうが困ります。
家は、買って終わりではありません。住み続け、いずれ売るか貸すことになります。そのときに問題が出ない状態で引き渡すことが、結果として売主様と買主様の両方を守ります。
中古住宅の売却をご検討中で、この考え方に共感いただける方は、お気軽にご相談ください。
TKグランクス株式会社
代表取締役 川原 貴諒
大阪府知事(01)第067136号
LINEは、この記事の題と「売るか迷っている」の一言で大丈夫です。
chatLINEで相談する(無料)
コラム一覧へ戻る